所 信
公益社団法人新庄青年会議所
第57代理事長 髙橋 臣也
~はじめに~
1965年、日本で299番目のLOMとして新庄もがみ地域の高き志と使命感を持った青年が集い設立した新庄青年会議所は、本年で57年目の運動が始まります。これも偏に、永きに亘り伝統と信頼を築き上げてきて頂いた先輩諸氏をはじめ、多くの方々のご理解とご協力の賜物でありますこと、心より御礼申し上げますとともに、2021年度も変わらぬご支援を頂戴致したく存じます。
ニューノーマル、いわゆる新常態な時代を迎え、日本のみならず世界的に常識が大きく変わった昨年。日本においても緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルスの未曽有の脅威が、我々の日常を非日常に変え、働き方や家庭環境、学習環境といったところまでもが、転換を余儀なく迫られました。ソーシャルディスタンスやフィジカルディスタンスといった新たな常識の中でも、我々は進むことを止めません。子供たちの笑顔が見たい。子供たちが夢を描ける地域にしたい。次世代を担う子供たちが伸び伸びと健やかに成長できる環境を創出できるのは、我々のような責任世代を生きる者の使命であり、義務でもあります。今だからこそ、新たに見えた地域課題や子供たちの環境変化にフレキシブルな発想をもち、新生活様式に即して運動を展開してまいります。
昨年7月に新庄もがみ地域に甚大な被害をもたらした豪雨災害は、地域住民の生活を脅かすもう一つの脅威となりました。これまで経験したことのない豪雨や地震などの災害は、もはやいつ自分たちの身に襲い掛かってもおかしくない状況にあります。いざという時に家族や友人、周りの人を守れる意識や知識を備え、障がいをもつ方々に寄り添い、新生活様式において地域住民同士や行政、社会福祉協議会などの関係各所とのコミュニケーションの在り方など、これからの新庄もがみ地域が安心安全に住み暮らせるまちになることが地域の発展につながると確信し運動を展開してまいります。
地域住民一人ひとりの意識を変革し時代に即した変化をもたらし、この地域を愛する心と、次世代を託す者と次世代を担う者の相互が当事者意識をもち、現状から目を背けず真摯に向き合い自ら行動できるようになれば、必ずやこの地域が笑顔と希望あふれるまちになると確信します。2021年度、時代に即した運動を展開し、新生活様式に即した活動を行っていくには、勇気を出して一歩踏み出し、青年会議所の理念でもある「明るい豊かな社会の実現」に向け、大きな転換をしていかなければならないのです。
~利他の精神の会員拡大~
少子高齢化に伴う人口減少や、東京一極集中といった人口流出で、地域未来を担う人財の発掘が難しくなり、さらには新型コロナウイルスの影響で地域経済が停滞し、新しい世界に踏み出そうとする考え自体が希薄になっています。異業種のメンバーから構成される青年会議所は、普段繋がることの出来ない人と人や業種の懸け橋となってきましたが、2 020年は新型コロナウイルス感染拡大防止の為、新たな出会いが創出されにくく、地域全体に影を落とし、志を持ってしても行動に移す術が奪われてきました。この危機的状況を悲観するのではなく、メンバーの人脈やアドバイスに耳を傾け、広く情報を集める仕組みが構築されれば、新たな同志との多くの出会いが創出されます。また、対面に拘らずに使えるツールを有効に活用し、同じ地域に住まう者同士が「明るい豊かな社会の実現」について語り合い、新庄もがみ地域が住みよいまちになるために知恵とアイデアを出し合 い、情熱を注げる場所として、青年会議所が必要だと考えます。多くの同志との出会いの中で自己成長やケミストリーの機会を創出します。メンバーに寄り添い、候補者に寄り添い、人と人とのつながりが新庄もがみ地域にもたらす希望になると信じ、会員拡大を実践します。青年会議所には三信条があります。「修練」「奉仕」「友情」。心から信頼でき、この地域の未来を共に描き、如何なる困難にも立ち向かう団結と絆を育む場所が青年会議所であり、それが出来るのも青年会議所であると確信します。
~地域を担う青少年の育成~
昨年から続く新型コロナウイルスの影響は未だ収束に向かわず、新生活様式という制限の中で子供たちの生活環境は激変しました。当たり前だったことが当たり前ではなくなりました。友達や地域の人との身体的距離や心の距離も制限され、心身ともにストレスを抱えている状況が今も尚続いていますが、学校等では様々な取り組みを実施し、それに対し子供たちは順応しようと模索しています。子供たちが今何を求めているのかを知り、子供たちが伸び伸びと躍動できる環境を創出できれば、心身ともに健やかな成長が期待でき、子供たちが今以上に素晴らしい地域の宝になると考えます。子供たちの最高の笑顔、子供たちが日常を取り戻すその為に、夢や希望を追いかける情熱をもち、今しかない青春を友とともに駆け抜ける友情をはぐくみ、己を磨く強い心と、人を思いやる優しい心が醸成される事業を展開することで、新庄もがみ地域の未来を担う人財へと成長します。また、新庄もがみ地域がこの先どう在るべきか、子供たち独自の視点で描くことが未来を考えることになり、当事者意識が芽生えれば次世代を担う世代であるとの自覚を持った人財へと育成することができます。今何かを成すことは重要なことかもしれませんが、中長期的な視点から子供たち自らの意思で立ち上がれる環境や機会の創出ができてこそ、真の青少年育成であると確信します。
~災害に強いまちづくりのために~
昨年7月に発生した豪雨による災害は、最上川と銅山川の氾濫により、甚大な被害が発生しました。一時孤立する地域も発生するなど、一人ひとりが危機感を持って知識を醸成し備えをしなければなりません。近年の新庄もがみ地域においても、大災害は対岸の火事ではなく、いつ発災してもおかしくない状況にあります。自らの命を守る自助、周りの人を想う共助の質を向上させ、行政や社会福祉協議会などの関係各所が担う公助とのバランスが整ってこそ災害に強く、住み続けられる地域になります。新庄もがみ地域は、全国的に見ても3世代同居率の高い地域ですが、高齢者の1人暮らし、共働き家庭の子供たちなど、日常的に1人で過ごす時間の長い方が居るのも事実です。その一方で、災害に対する危機意識や備え等の意識はまだまだ低く、自助、共助の質の向上は急務であると考えま す。また、福祉の面では、高齢者や未就学児、障がいをもった方など、一人で行動することが困難な方々に対する様々な場面での共助の意識を向上させてこそ、ソフトの面での災害に強いまち、住み続けられるまちになります。住民一人ひとりの意識を変革し自助と共助について自発的に発生する環境を構築し、公助とのバランスが整い縦割りから脱却したとき、横の繋がりが強固なものとなり、誰もが住み続けられるまちづくりが実現できると確信します。
~組織進化と情報の発信~
新型コロナウイルス感染拡大防止が急務の中、組織としてのルールを遵守しながら今までの常識を新生活様式に即した常識に変化させることが求められます。56年の歴史の中で受け継がれる良き伝統とフレキシブルな感覚を融合させ、時代に即した厳格な組織運営を行う為にはルールを見直しながらも、JCプロトコルを遵守し組織を進化させていかなければなりません。また、移り変わりの早い時代であるが故に、情報に敏感になり、様々なツールを熟知し、全てのメンバーが有効に活用できる環境を作り、的確に明確に受け取る側に立って青年会議所の運動を伝播する必要があります。そして、メンバーの活動に対し、先入観を抱くことなく、時代に即した視点から評価し、LOMの運動への意識向上を図ります。メンバー、一人ひとりが自らの意識を向上させ模範となる行動をしていかなけれ ば個人は勿論、組織としての社会的信用を得ることは出来ません。JAYCEEとしての誇りをもち、多くの学びと気づきから自らが思い込んだ限界を超え行動できる人財へと成長し、それが強固な組織進化となります。さらに、友好JCとの友情を今まで以上に強固なものにし、県を跨いだ有益な運動を展開するべく、情報共有やメンバー間の交流を図 り、より一層の関係構築を目指し、ともに「明るい豊かな社会の実現」の為に、新たな一歩を踏み出します。
~円滑な組織運営のために~
新庄青年会議所が永きに亘り運動を展開してこられたのは、厳格な組織運営を行ってきた先輩諸氏の皆様の賜物であり、途絶えることのない青年会議所運動を後世まで持続させるのは、責任世代を生きる我々の使命でもあります。世界各国でSDGsに取り組む中、遅れることなく情報を共有していかなければ、新庄もがみ地域の発展にもつながりませんし、個の成長にもなりません。触れることの出来なかった環境に多く触れることが個の成長に繋がり、個が成長すれば組織として盤石な体制が築けます。その為にも、全国で開かれる有意義な大会へ参加する意義を明確にし、全メンバーに学びと気づきの機会を創出します。そして、全メンバーのフォローアップを徹底し、新庄青年会議所の運動が円滑に遂行されるよう組織としての運営をします。また、重要な決定事項がなされる場において時代に即したルールを構築していかなければ、社会的信用を得るのは難しく地域住民からの賛同が得られる団体へと常にアップデートしていくことが必要です。そして、新庄青年会議所の運動に対し多大な功績を残されたメンバーに敬意を表し、その意思を引き継ぐことで、また新たな一歩を踏み出します。
~第50回新庄雪まつり~
1971年、新庄青年会議所の新たな歴史の1ページが始まりました。第47回大会にて46回続いていた伝統ある会場からの開催場所変更という大きな節目もあり、2021 年に50年という長い歳月を経て、第50回の節目の雪まつりに立ち会えることに、先輩諸氏の皆様、そして長らく雪まつりに携わって頂いた皆様方に対し、敬意を表しますとともに責任の重さを実感しております。本年の雪まつりは、コロナ禍での開催となります が、事実に基づき通常開催を目指して参ります。記念すべき第50回新庄雪まつり、創始の想いを引継ぎ、フレキシブルな感性を融合させ、この暗く沈んだ時世を打開すべく新庄もがみ地域の皆様へ笑顔をお届けします。今出来る最高のおもてなしをし、新庄もがみ地域の魅力を広く発信するとともに、県内外を、そして世界を魅了する雪まつり事業を展開し、新たな一歩を踏み出します。
~結びに~
今だからこそ我々の存在価値を見出し、地域住民の先駆けとなって運動を行っていく必要があります。2021年度、「重見天日 ~笑顔あふれ希望あふれる地域の創造~」をスローガンに掲げさせていただきました。人と人との距離が制限されたこんな時代だからこそ、知恵を持ち寄り工夫し、再び手に手を取って共に歩いていけることのできる地域の実現に向かって、一歩踏み出します。