所   信

 

公益社団法人 新庄青年会議所

 

第56代理事長 辺見 孝太

 

 

 

~はじめに~

 

2020年、公益社団法人新庄青年会議所は56年目のスタートを切ることができました。これも偏に、先輩方の弛まぬ努力と多くの皆様方から頂いた温かいご支援の賜物と存じます。改めて、56年の長きに亘り地域に密着した活動を展開されてきた多くのOB諸先輩に尊敬の念を抱くとともに、我々が今、このように活動できる礎を作って頂いたことに心より感謝申し上げます。

 

令和という新しい時代が幕を開け、東京オリンピック・パラリンピックの開催など日本の歴史に残る出来事が予定されている本年。世界との距離が近くなり、ここ新庄もがみにも海外から多くの人々が訪れるようになりました。テクノロジーの発達も目覚ましく、インターネットを通じて世界中の人々がつながり、様々なサービスが生まれ、暮らしがどんどん便利になっていくのを実感するとともに、ビジネスの仕方や働き方が著しく多様化し、社会が目まぐるしく変化していると感じます。正に時代の転換期と言える今だからこそ、望ましい未来像を明確に描き、変化をポジティブに受け止め、柔軟な発想で未来を切り拓いていくことが必要です。また、次世代へ希望をつなぐために、SDGs(国連サミットで採択された持続可能な開発目標)などの枠組みを有効に活用し、地域課題の解決や発掘を行い、持続可能なまちづくり運動につなげてまいります。

 

国際化や情報化が進み、多様な知識や考え方に触れる機会が増える一方で、ここ新庄もがみに今日まで受け継がれ、蓄積されてきた豊かな地域文化は、住民同士のつながりを育むとともに、地域社会の個性として、時代が変化しようとも変わることのない新庄もがみらしさ、言い換えれば、新庄もがみの「アイデンティティ」となりました。地域のアイデンティティは地域への愛着やまちづくりへの参画意識を育てる貴重な資源です。伝統文化が息づく地域社会を継承するために、様々な事業を通じて次世代へ新庄もがみのアイデンティティを伝え、地域の人と人とのつながりを取り戻す懸け橋となります。そして、社会の変化に柔軟に対応し、勇気をもって垣根や枠を超え、アイデンティティと多様性を両立させた未来を目指すことが、明るい豊かな新庄もがみの実現につながっていくと確信します。今を変えなければ、未来は変わりません。今自分にできる事に没頭し、一人ひとりが使命感をもち、共に運動を展開していきましょう。

 

 

 

~志を同じくする同志の拡大~

 

都市部への急激な人口の流出や少子化によって青年世代が減少している今日、共に活動する人財を発掘し入会につなげるにはこれまで以上に戦略と行動力が求められています。     新庄青年会議所の活動エリアは新庄もがみ8市町村となっており、この広大なエリアで地域を取り巻く様々なニーズや地域課題に照らし合わせた運動を効果的に展開していくには、今よりも多くの各地域に根差したメンバーの力が不可欠であり、そうして集まった多くの青年の力が運動をさらに進化させ、地域により良い影響を与えることができると考えます。また、多くのメンバーが青年会議所の門を叩くとき、新たな仲間との素晴らしい出会いを期待していると思います。私自身、青年会議所で多くの素晴らしい仲間と出会えました。人生がより豊かになりました。尊敬できる先輩や、信頼出来る後輩に出会えました。私たちは人と人とのつながりの中から多くの事を学ぶために、多くの出会いをし、成長していかなくてはなりません。人は人によってしか磨かれず、多くの仲間との出会いがメンバー相互の成長へとつながり、組織をより強固にし、地域により良い影響を与える運動を展開できると確信します。我々の都合で拡大をするのではなく、相手のためを思い、相手のためになると信じて、情熱をもって伝えることでJC運動への理解と共感を深めていくことが必要です。新庄青年会議所が、より地域に頼られる存在となるために、そして真に価値のある運動を展開し続けるために、新庄もがみ8市町村を活動エリアとしてしっかりと意識し、断固たる決意と情熱をもって会員拡大を推し進めることで、地域を担うリーダーとなる人財の発掘を行います。

 

 

 

~地域を担う青少年の育成~

 

現代に生きる子供たちにはSNSやインターネットなどによって常に誰かとつながることができる環境が身近にあり、そうした環境の中で芽生える友情や、その中でしか得られない出会いがあるなど、正しく運用すれば新たなコミュニケーションのツールとして有用なものであると言えます。しかし、そうしたつながりの中にお互いへの尊敬や信頼関係がなければ、暴言や他人を誹謗中傷するツールとして使ってしまう人もいます。また、インターネットやシミュレーションを通じて間接体験や疑似体験の機会が増える一方で、実体験が少ないことなどの青少年の生活の変化も指摘されており、現実の世界や生活などへの興味や関心、意欲に負の影響があるのではないかという懸念や、ITの発達が対面でのコミュニケーション機会の減少につながり、コミュニケーション能力が低下するのではないかという懸念が問題点として挙げられています。今後、これまで以上の人口減少社会や高齢化社会を迎えることで起こり得る、より難解な地域課題を解決する上でも、多様な知識や考え方が今まで以上に重要になると思われます。異なる文化をもつ人々と信頼関係を築き、コミュニケーションを図るには、すべてをただ受け入れるのではなく、違いを認め合う知性と感受性をもち、一人ひとりが信頼に値する人財になることが必要です。常に誰かとつながっているこんな時代だからこそ、多様性を認め合い、お互いに尊敬し合うことが青少年の健全な心の育成に重要であり、そうした価値観を身につけた青少年が地域の未来を輝かしいものに変えていきます。私たちの想いを受け継ぐ未来の地域の担い手を育むために、子供たちが共に学びお互いを理解し合う機会を創出し、正しく仲間との友情を築き、心のたくましさをもつことができる事業を行ってまいります。

 

 

 

~地域のアイデンティティを次世代へ~

 

少子化による人口減少や都市部への急激な人口流出によって、新庄もがみを取り巻く環境は厳しいものであると言えます。この地域には古くから受け継がれてきた地域文化を根源としたアイデンティティがあり、そうした共通性が住民相互の連帯性を培い、地域の独自性や魅力の源泉となってきました。地域が縮小し、受け継がれてきた伝統や話し方、生活の仕方や祭礼などの地域文化の継承が途絶えてしまうと新庄もがみのアイデンティティの喪失へとつながってしまう恐れがあり、アイデンティティの喪失は地域への愛着や郷土意識そのものが失われてしまうことにもつながります。また、現代社会では多様性を認め合う価値観が広まり、個人が人生において多くの選択肢を選び取ることが可能になった一方で、人間関係の希薄化やコミュニティ意識の衰退が見られるなど、古くからこの地域に受け継がれてきた人と人とのつながりが薄れ、伝統文化の多くが後継者不足に悩み、失くしてはならないものを失ってしまう危機に直面しています。これからのまちづくりには地域に生きる一人ひとりが次世代や地域との関係の中で生きていることを自覚し、アイデンティティを失わずに多様性を受け入れることが必要だと考えます。希望溢れる新庄もがみの未来を切り拓くために、多様性を取り入れるとともに地域の共有財産である伝統文化を資源とした住民の連帯性や、まちづくりへの参画意識と郷土意識の醸成を行い、独自性をもった地域の魅力の源泉を次世代へ伝え、地域をより活性化させる運動を行ってまいります。

 

 

 

~災害から地域を守る~

 

近年、全国的に自然災害が多発し、各地に甚大な被害をもたらしています。私たちの住み暮らす新庄もがみでも大規模な地すべりや豪雨による河川の氾濫などが発生し、多くの被害を受けました。こうした豪雨などが増加している直接の原因は地域ごとに異なりますが、長期的な地球温暖化の傾向と一致していると言われています。また、新庄盆地断層帯東部では将来的にマグニチュード7.1程度の地震の発生が懸念されており地震のリスクが全国的にも高い地域とされていますが、地域に住まう人々の災害への備えや防災への意識はまだまだ十分ではないと感じます。発災直後の初動段階においては国や地方公共団体などが行う公助にも限界があり、公助のみで災害を乗り切ることが非常に困難であることは、これまでの大規模災害時の例を見ても明らかです。災害時に被害を最小限に抑え、地域住民の生命を守るには住民一人ひとりの自助の質を高めることが不可欠です。災害を他人事だと思わずに、自分や家族にも起こりうることだと考え、防災が自分や家族の命や生活を守るのに役立つと理解することが、自ら防災に取り組むことにつながります。そして、新庄青年会議所として災害時に素早く危機に対応するために、社会福祉協議会や地域の行政と日頃より連携し、発災後の初動態勢や災害ボランティア活動の支援体制などをしっかりと整備することで、相互の助け合いの力を行き渡らせ、地域を守ります。さらに、災害リスク軽減のために、SDGsなどの枠組みと連携し、気候変動や住み続けられるまちについて真剣に考え小さな事からでも行動していくことで、大きな運動へと昇華させます。自分たちのまちは自分自身で守るという気概をもち、率先して地域防災と気候変動対策に取り組んでまいります。

 

 

 

~組織進化と情報の発信~

 

我々には明るい豊かな社会の実現という共通目的があります。新庄青年会議所が一丸となりこの目的を達成するためには、我々自身の価値と認知度を高め、より地域に必要とされる組織となる必要があります。まずは、今日まで受け継がれてきたJCプロトコルの遵守と、ルールに則った厳格な組織運営を徹底し、秩序を守り、地域のリーダーとして自らを律することで地域に信頼され必要とされる組織となることが第一歩であると考えます。そして、メンバー一人ひとりが地域の未来のビジョンを明確に描き、社会において望ましい行動を取るという社会的な責任を自覚し、使命感をもって地域課題に対しての解決策を主体的に考えられるよう自身の意識変革を行うことで、市民意識を変革させられる人財となります。長年行われてきたLOM褒賞においても、単に慣例的に表彰するのではなく、様々な角度から正しく評価し功績を明らかにすることで、組織の活性化とモチベーションの向上を図ります。また、インターネットの発達によって個人が様々なツールで発信を行える現代、より効果的な情報発信を行うために、簡易な発信方法に甘えることなく発信の効果や情報を誰に届けたいかを精査し、適切な情報の発信を積み重ねることで、青年会議所運動への理解と共感が深めます。長年受け継がれてきた伝統を守りながらも変化を恐れず、多様な知識や考え方を結集し、地域が抱える課題の解決に向けて挑戦し続ける組織を創り上げます。

 

 

 

~結びに~

 

 大きな船が一人の力で動いていないように、多くの人の力が無ければ組織も地域も成り立ちません。私たち一人ひとりが地域社会と真摯に向き合い、世代や垣根を越えて人と人とのつながりを取り戻すことで、地域に住まう人々が今よりもより輝ける未来を必ず切り拓くことができます。

 

 

 

学歴よりも学力(自分で考える力)

 

知識よりも知恵(工夫する力)

 

体格よりも体力(根性)

 

 

今しかない青年時代に、人と人とのつながりの中で多くの事を学び取り、よく考え、よく工夫し、断固たる決意をもって新たな時代を切り拓く運動を展開し、地域に住まう一人ひとりが、それぞれの花を大きく咲かせることのできる地域の実現に向かって挑戦してまいります。